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お正月 日本対アメリカ3

・感想
3つの試合の中で一番感動。
試合時間が半分経過した時、ロシアンにとっては、まだ半分も時間が残っているの?という気持ちだったんじゃないかと思う。
長い間、不安や怖さ、やるせなさなんか感じながら、格上のパット相手に試合終了直前までリードできたのはすごいと思う。
記録は、精神的な限界と肉体的な限界のどちらか低いほうできまるわけで、
今回は、体的にキツイけど、気持ち的にはまだいきたいし、いける!でも食べ物がなかなか喉を通っていってくれない、、そんなやるせなさがロシアンにはあったんじゃないかと思う。
気持ちはあるのに体がついてこない状態。
パトリックは真逆
まだちょっと体に余裕があるんだけど、気持ち的にきつくて、自分を追い込めなかったので、記録をのばせなかった。でも負けたくはなく、最後に少しだけ頑張って逆転。
対照的で面白いかったし、こういった精神力も一つの大きな要因で、力の差が埋まって接戦になってんじゃないかと思う。

・すき焼き丼
水分が多くてかなり食べやすそう。
前半どちらもほとんど噛まずに、飲むように食べているところをみると、水分が多く、半熟の卵も手伝って、
かなり食べやすい食材だったと思う。お肉も柔らかそう。
ちなみに、お店の場所がローアー・マンハッタン(フェイナンシャル・ディストリクト)なので、ふつうのニューヨーカーはまず通わない場所。特殊な場所から特殊な料理を選んだなぁ、と思う。取ってつけたようなナレーションの「今や世界の味となったすき焼き」がより一層そう思わせた。←別に文句ではないです


・ルール
明快  でも個人的にはちょっとわずらわしいと思った。
パットは食べ直しを指示されてから、それを食べ終えるのに20秒もかかっている。残っている量がそれほどでもないのに、これだけ時間がかかるということは、綺麗に食べるルールに最初はだいぶ戸惑ったんじゃないかと思う。
いつものテンポで食べられず、ちいさな粒を集めている間に失う時間に調子が狂ったんじゃないかと思う。食べたことない物なので、さらにやりづらかったと思う。
食べたことないすき焼き丼で、このルールは、パトリックにはちょっと気の毒だなと思った。
味も嫌いだったそう(特に甘いタレの味が)
それでも、文句ひとつ言わず、試合中の日本スタッフの指示に従って、最後まで食べ続けて、リアルチャンピオンだなと思う。

ロシアンにしても、丁寧に食べなければ、もっと早く食べられるはずなので、二人がゆるいルールの中でどれぐらい食べられたかみたかった。(残ったご飯はあとでかき集めて計量かなんかするとして)
米粒を集めるロスタイムがもったいない。


・食べ方
ロシアン
口いっぱいになるほどのライスの量を一回一回運んでいて、それが次々口から消えていた。
飲み込みやすいすき焼き丼の特性をいかした食べ方になっていた。
あの大きな一口食い、往年の甘味大食い女王、野末由美さんを思い出す。(団子一串一口、ケーキ1ピースも一口、目の前で見た時、一口が大きくてびっくりした)
誰にでもできることではないので、番組側が選手に合わせて食材を選んでるのかな、と感じる
くらい上手に食べた(早くて綺麗)。

パット
スプーンの動きは早いんだけど、ごはんの運び方が下手で、一回に運ぶ量が少なく、結果的にスプーンの往復を何度もくりかえされければいけないし、たくさんこぼしてた。
食べながら、少し上手になっていった。
無駄に勢いをつけてスプーンを口までもっていってた。全く必要ない(というか逆効果で、これもごはんこぼす原因)10分前後の試合の癖かも。長い試合時間の経験が少ないことを感じさせる。

・本来の力量
スピードも胃の容量もパット
ロシアンが先行できたのには、いくつか理由があると思う。

パットが食べ慣れていない。

逆にロシアンにとっては食べやすいものだった(かたいものや、食べ慣れていないものじゃなかった)

ロシアンの負けん気と戦略(最初から先行逃げ切り作戦だったように思えた)

食べやすいものでとばすとなると、容量でまさっているパットに容量勝負をしているようなものなので、リードしていても気が気じゃなかったと思う。
自分の胃袋がもつのか、どこまでリード保てるのか、いろいろ不安だったと思う。
それでも、こわがらずに、後先考えずにとばしたことで、パットを追いつめられた。
記録以上に価値のある試合ぶりだったと思う。


・パトリックに余裕は?
あるにはある、でも、ものスゴイ余裕があって、ゲームを遊んでいた、、、、というほどではなかったと思う。
13杯前後、ロシアンは結構きつそうになってきていて、食べ方みても、底をみせはじめてしまってる。ここらへんでパトリックは自分の胃の方が余裕あることを知って、焦りが消えたんじゃないかと思う。まだ半分時間が残されていたし。
それにパトリックのペースが、14杯完食でロシアンと並んでから、次の一杯が極端に落ちている。
自然には起きないことなので、射程内に入ったとみてペースをコントロールしてるんじゃないかと思う。
それと、最後の17杯目だけひとつ前の丼より40秒も早く食べている。最後のペースアップは(精神的な問題じゃなく)胃にある程度余裕がないとできないこと。
だとすると、たぶん、パトリックはもう少し追い込めば、あの時間内で少なくともあと一杯はいけると思う。
でも、力をセーブしたのは、めちゃくちゃ余裕があって、テレビ的を考えたとかじゃなく、結構きつかったからだろうと思う。(力はセーブしたんじゃなくて、キツくて出し切れなかった)

・前回のパトリックの対戦者ギャル曽根と比較して
(ツイッターで質問されたこと)
30分のすき焼き勝負は、上で説明したこと(序盤から先行、食べ方、限界恐れず飛ばす、など)ができたロシアンだったからパトリックと接戦を演じられた。
ギャル曽根だと、最初から最後まで先行することがあんまり想像できない(食べるのが早くない、ガムシャラにいかない、きつくなってからの粘りがあまり期待できない)
なので、ギャル曽根が出ていた方がよかったのでは?という質問に対しては、
ロシアンで良かったと言いたい(ギャル曽根はパトリックを追い詰められなかったと思う)。
接戦も演じて感動も与える試合をしたロシアンのかわりをさがすのは難しい。

・リーダーシップ
ロシアンはキャプテンとしてリーダーシップを発揮していた。
年上の菅原さんと新人二人をまとめていいチームになってるなぁと思った。
ガンガン引っ張るリーダーじゃなくて、繊細な気配りで、後ろから支えたり、仲間同士ののいい距離感をつくったり。心でチームを支えたリーダー。
パットは最終対決に出場するからキャプテンになっているだけの気がした。本人も興味なさそう。


・ロシアンの離れ業

ロシアンの13皿完食と14分完食時点の試合経過時間が同じ 
13皿完食 15分11秒
14分完食 15分11秒
一杯を1秒未満で食べた計算。あの一口食いがあれば、すき焼き丼一杯程度は一瞬なのかも。


・最後に
選手選考や食材の選択は番組の決定なのに、選手まで批判される可能性があるのがかわいそう。見直しするべき。出場者は、選ばれたから出場して、出されたものを食べているだけ。